日本肩関節理学療法研究会

第16回日本肩関節理学療法研究会開催報告

第16回日本肩関節理学療法研究会は132名の方にご参加いただき帝京科学大学千住キャンパスにて行われました。今回は肩関節の解剖学や運動学、痛みの病態や捉え方、肩関節周囲炎・凍結肩の診療についてなど多くの講演を取り上げました。
また、「症例を通して肩関節周囲炎を考える」をテーマにした症例検討を行い活発なディスカッションが行われました。

2024年8月17日(土)1日目

肩関節周囲の触察講習

当会恒例の立花孝先生(当会顧問)、高濱照先生(当会顧問)、西川仁史先生(甲南女子大学)、鈴木加奈子先生(たちばな台病院)による『肩関節周囲の触察講習』を開催し、25名の理学療法士、作業療法士の先生にご参加いただきました。

教育講演①「肩関節を跨ぐ筋を観る・そして診る」

大分大学福祉健康科学部 河上敬介先生

一般解剖学に加え、重要な解剖学的情報として、「三次元的に見た筋の位置や厚さを知る」、「起始・停止腱の位置や形、それに基づく筋束の走行を知る」、「筋の形の個体による違いを知る」、「筋束の始まりや終わりの位置を詳細に知る」の4点について、肩関節周囲筋を例にとりご講義頂いた。

特別講演①「凍結肩診療の実際」

多根総合病院整形外科部長 永井宏和先生

凍結肩の定義や疫学・病態について関節外要素を含め、これまでの報告をまとめ検討していただいた。実際の治療に関しても病期ごとの保存療法のポイント、手術療法の適応なども含め、経験に基づいた治療選択についてご講義頂いた。

2024年8月18日(日)2日目

特別講演②「慢性疼痛の病態と捉え方」

甲南女子大学看護リハビリテーション学部 壬生彰先生

疼痛は器質的要因がなくても生じ、かつ痛覚のみではなく情動変化を伴う不快な体験も含まれる。そのため、多面的・包括的に捉えることが重要である。また、不活動性を助長させないために痛みと条件付けされないよう関わっていく必要がある。痛みのメカニズムと慢性疼痛の病態・評価についてご講義頂いた。

特別講演③「痛みの病態分類に基づいた介入戦略」

京都橘大学健康科学部 重藤隼人先生

痛みは、侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛・痛覚変調性疼痛の3つに大きく分類されている。STAR-Shoulderを活用し、過敏性の重症度に合わせて介入方法を選択する。固執が強い場合はペーシングにて活動パターンの再構築、回避傾向が強い場合は段階的適暴露を活用するなど介入戦略の有効性をご講義頂いた。

会長講演「肩関節周囲炎(拘縮肩)の治療戦略について 手術症例からひも解く」

昭和大学保健医療学部 尾崎尚代先生

肩関節周囲炎、拘縮肩の診断で理学療法を施行している症例の調査から、手術療法を選択した30名の治療経過、経過の中で見られた特徴的な所見等をご講義頂いた。反対側の1年以内の発症頻度が比較的多い、糖尿病罹患率や心療内科通院率が高い、理学療法終了までの期間、可動域改善の期間など幅広くご講義頂いた。

パネルディスカッション ―症例を通して肩関節周囲炎を考える―

①-松戸整形外科病院
「ゴルフ動作時の疼痛改善を目指した症例」
②-運動器ケア しまだ病院
「拘縮期移行期にて外転可動域拡大時に疼痛増悪を認めた症例」
③-東京スポーツ&整形外科クリニック
「右肩関節拘縮・変形性肩鎖関節症の術後症例」

それぞれの症例の検討事項について、座長やフロアの参加者を交えながらディスカッションが行われました。

教育講演②「解剖学講座で肩関節の疑問に挑む」

日本歯科大学新潟生命歯学部 河上淳一先生

普段、臨床の中で体表から触察やエコー描出している骨や組織について検体を用いて実際の形状や組織の特徴、個体による違いについて講義して頂いた。肩峰の位置や形状が違うことで筋活動も異なるため、患者個々の特徴をつかむことが必要であり、また各組織の動態や組織特性を理解し、触察やモビライゼーションを行うことが重要であるとご講義頂いた。

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